未来予想図01
目前のことではあまり明るいことを考えられないのですが、将来、こうなっていたらいいなぁ、という想像をしながら明るい未来が来るのを待とう、というのが今私にできる数少ないことの一つです。
思い描く未来の姿を思いつくまま、書き綴っていきます。
時は2038年夏、平成最後の夏から数えて20回目の夏である。
トイレットペーパーなどの日用品は定期購入で定期的に自宅に届けられるのが普通になっているが、その他必要になった物は随時購入する必要がある。
ネットで注文して届けてもらっても良いが、すぐに必要な場合や、あえて自分の足を使って買いに行きたい場合は店舗に出向くことになる。
以前より実店舗の数は減った気がするが、幸い自宅から歩いていける距離にあったドラッグストアは今も健在で、私は気晴らしがてらに、良く足を運んでいる。
今日もなんとなく、飲み物でも買おうかと出向いていった。この時代、鍵も財布も電子化されていて、本人認証されたら自動的に家の鍵はかかったり開いたりするし、支払いも自動で行われるので、携帯端末を身につけているだけでほかは何も持たなくても良くなっている。なのでほぼ手ぶらで出かけるのが普通になっている。
店についたら清涼飲料水のコーナーへと足を運ぶ。20年前に比べて品数が増えているので、選ぶ楽しみも増えている。使われている甘味料も希少糖の割合が増え、飲んでも太りにくくなっているため、以前よりは甘い飲料を飲む機会が増えたように思う。
今日はカフェラテにしようと、一本だけ手に取って、ほかに必要なものは無かったかな、と店内を散策がてら歩き回って、今は特に買うものもないのを確認するとそのまま出入り口へと向かった。
支払は自動なので、出入り口を出る前のゲートを通ったところで、清算される。店に並んでいたレジは過去のものとなっていた。
私の年齢になると、かつて仕事に就いていたとしても、既に引退している人が多いが、定年延長の影響でまだ働いている人も一定数居る。仕事にありつけている人の報酬は驚くほど高額なものになっていると聞くが、仕事をしていなくても生活できるだけの資金がベーシックインカムという形で支給されるので、生活に困ることは無い。
私は定年のだいぶ前に早期退職してしまったので年金が少なくなることを心配していたが、ベーシックインカムの制度が創設されたおかげで、低収入で惨めな思いをすることは回避されたのだった。
現在、実際に働いているのはロボットやAIの割合が増えてきていて、その影響で効率化が進み、品物やサービスによっては極端に安くなったものもある。物価は日銀がインフレを目標に金融政策を行っているのでわずかずつとはいえ上昇しているはずだが、社会全体の効率化の影響で値下がりするものも多く、普段利用する身の回りのものやサービスは20年前の物価より安くなっている気がする。
社会の効率化はまだ道半ばと言ったところらしく、今後、20年前にあった仕事の90%くらいまではロボットとAIに置き換わっていくという。そうすると生産性はもっと上がり、ベーシックインカムの支給額も上がっていくそうだ。
欲なことを言わなければ、だれもが、時間もお金もゆったり使える、本当に豊かな社会の到来が目の前に訪れたと言えるだろう。
これなら次世代に何の気後れもせず、堂々とバトンタッチしていけるだろう。
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