入院していた時
2020/07/20
私は幻聴などの症状が出て入院した経験があります。
閉鎖病棟と言うのでしょうか、自由に出入りが出来ないよう、制限のある区画でした。
大部屋と個室に分かれていて、個室は個々に鍵がかけられるようになっていて、大部屋は廊下へは自由に出入りできるようになっていました。
私は入院した最初の頃の記憶が無いのですが、気が付いた時には個室の中に居ました。
一週間ほどだと思うのですが、しばらくしたら大部屋に移りました。最初は空腹にもかかわらず食事がのどを通りませんでした。飲み込むということが出来づらかったのです。ですので、出された食事のデザートのプリンだけをすすっていました。
やがて医師による診察が始まり、私が食べ物を飲み込めない、というと給食がすべて細かく刻まれて出てくるようになり、徐々に食べられるようになりました。
大部屋に移った頃、まだ幻聴が聞こえていました。入院前は複数の人の声がひっきりなしに聞こえていたのですが、入院してからはただ一人の声が聞こえるだけでした。
その頃の私は声が聞こえるのが不思議なことだとは思っていなかったので医師には知らせなかったのですが、診察のたびに声が聞こえたりはしませんか、と聞かれるので、何回目かの診察で実は聞こえています、というと薬の量が増えました。
それ以降は最後の一人の声も聞こえなくなりました。聞こえなくなった時はなんだか寂しいと感じました。
私以外の入院している患者さんと話す機会もありました。長く入院されている方や、何度も入退院を繰り返している方もいらっしゃって、私もその仲間になったのかな、などと感じていました。
もしかして、このまま退院できず、ずっと病院で暮らすのかななどといった考えが浮かんできました。私より少し先に入院した患者さんも、同じように、ここに居たらずっと退院できないような気がしてくると言っていました。周囲の患者さんを見ていると相当に重症な人ばかりだと思ったからでした。
実際には私は2か月半ほどで退院しました。医師はすぐに職場復帰と言っていましたが、私はしばらく自宅療養したいと言いました。するとそれが認められ、3ヶ月ほど実家で療養することになりました。
病気が再発したら、また入院かもしれないので、薬は欠かさず飲んでいます。再発したら次は治るのが長引くらしいのです。
薬を飲まないでいて再発して2回目の入退院をしたあと、薬を飲んでいたのに再発して入院してきたという患者さんもいらっしゃいました。
再発を繰り返すと病状は悪くなっていくようです。薬を飲まないというのはリスクの高い選択です。薬を減らしたい、辞めたいという場合でも医師とよく相談しながらでないといけません。
生の体験として患者さんや看護師さんからの話をじかに聞いてきたので私は薬を勝手に辞める、ということは考えられません。
入院した頃のことは今となっては良き思い出として残っています。人とは違った珍しい体験をしてきたと言えるでしょう。
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