トマ・ピケティ「r > g」の意味と私たちのできること
2017/06/06
フランスの経済学者、トマ・ピケティ氏の著書が大きな話題となりました。資本主義では資産を持つものにお金が集まっていき、格差は拡大していくというものです。「r > g」のrとgとは次の通りです。
r(リターン)とは、
株や不動産など、資産運用から得られる利益率のこと。
g(グロース)は、経済成長率。
働いて得る、所得の伸び率とも言えます。
すなわち、資産運用で得られる所得が働いて得られる所得を上回るということです。
感覚的にもなんとなく分るのですが、資産が所得を生み、その所得で資産が増え、増えた資産からまた所得が生まれるという循環が起こって、資産は資産を持つ者のところへ集まっていきます。それを過去のデータを集めて検証し、書籍化したのです。
反論もあるようですが、ピケティ氏の著書は特に北米で受け入れられ、分厚い専門書であるにもかかわらずベストセラーになっているそうです。
「r > g」が本当ならば、まじめに働き続けるだけでは資産を持つ人にはいつまで経っても追いつけないことになります。資産家を上回るほどの所得を得られるならば、追いつき追い越すことも可能かもしれませんが、多くの人には難しいことでしょう。
ならば、私たちにできることは所得を消費に回すだけでなく、所得の一部を資産に変え、少しでも「r > g」の恩恵を受けられるようにすることです。
リスクは取り過ぎるべきではありませんが、ある程度のリスクを許容したうえで資産を形成するという道を選択するべきだと思うのです。新興国以外では預金金利は低金利なので、預金だけで資産を形成するのは難しいです。なので、世界各国の株や不動産に分散投資をするような投資信託を積み立てるという方法がリスクも少なくて済み、世界の平均に近い「r」を得られるのだと思います。
投資信託には目先の分配金が多くて一見、お得に見えるものも存在しますが、そういうものは分配金はあっても、自分自身を削って分配するようなものもある(基準価格が下がり続ける)ので注意が必要です。分散投資しているものでも、投資先やその割合が様々なので、良く調べて自分の目的にかなった投資信託を探し出す必要があります。
私が数年前から積み立てているのは「三菱UFJ-eMAXIS新興国株式インデックス」です。新興国がどんどん伸びてくると思ったので始めたのですが、基準価格1万円から始まって、一時期7千円台まで落ち込んだ時期を経て、現在は1万4千円台です。基準価格が低迷中も定額で積み立てを続けていたのでその頃積み立てた分のおかげで大きな含み益ができています。アメリカが景気拡大を受けて金融引き締めを行うので、影響を受けてまた下落する局面に突入するかもしれませんが、下手に売買をすると失敗してしまうかもしれないので、今後も定額での積み立てを続けるつもりです。
新興国だけに投資というのもバランスに欠くので今年からほかの投資信託も積み立てを始めました。具体的には「日経225インデックスファンド」「世界経済インデックスファンド」と、愛称:My-ラップ(積極型)、「SBIグローバル・ラップファンド(積極型)」です。日本人なので日本に投資、世界に投資したいので世界に投資、新しいもの好きなのでラップファンド、というわけです。
これらは各国の中央銀行の政策や経済動向、為替の状況に関係なく一定額で積み立てていくつもりです。将来「r > g」の恩恵を受けられるかどうか、楽しみにしています。